2017~2019年に「マンガPark」にて連載された大人気漫画「虐殺ハッピーエンド」における謎や伏線について考察を行っていきたいと思います。
初版発行日 | 2017年9月19日発売 |
作者 | 原作:宮月新、作画:向浦宏和 |
巻数 | 全8巻(コミックス) |
ジャンル | サスペンス、バイオレンス、ホラー |
Wikipedia | 虐殺ハッピーエンドのWikipedia |
虐殺ハッピーエンドのあらすじ
主人公の草壁真琴(くさかべ まこと)は高校生でありながら病気の妹を抱えてアルバイトを続ける健気な青年でした。
妹の草壁詩織(くさかべ しおり)は長くて2ヶ月と宣告されている重病人。
詩織が助かるには移植手術を行うしかなく、ドナーを探している状態です。
日々アルバイトを掛け持ちする真琴ですが、飲んだくれの父親が詩織の治療費を使い込んでしまった事から、ある神社の前で「こんな毎日が続くなら、僕と詩織に明日なんか来なければ良い」と叫びます。
この事を機に、1日を終えると世界全体の時間が戻る世界に入り込みます。
しかし、真琴と詩織だけは時間が巻き戻らず、日一日と時間が経過してしまっている事が分かります。
世界中の時間が戻っている中で、時が進みどんどん体調が悪くなる詩織
- 真琴はこの状況でどのように生きていくのか?
- 詩織を救うことが出来るのか?
虐殺ハッピーエンドの最終回
真琴はタイムリープを終わらせるためビルの屋上から飛び降りる体制を作り、加奈に押して貰い転落死します。
そして、全てを狂わせたタイムリープは終わりを告げます。
真琴の死からしばらくの時が経過します…
場所は病院。
様々なことに巻き込まれた加奈は真琴が亡くなって、どうすればいいのかが分からず、朦朧とした状態でなんとか意識を保っていました。
そんな加奈の目の前に泣いている真琴の亡霊が現われます。
加奈は真琴の亡霊に対して「どうして、泣いているんだよ!何が言いたいんだよ」と叫び、そのまま気を失ってしまいます。
時刻は8月11日23時55分
加奈は病院の屋上にいました。
そして、加奈に付き添った瀬戸が話しかけます。
加奈は瀬戸に「本当にこれで終わったのかな?」と聞きます。
真琴の呪いは終わったが、加奈は真琴を殺害してしまった事で、”その呪いが自分に移っただけなのかもしれない”と感じていました。
そんな加奈の想いを察した瀬戸は加奈の手を取り「進もう、明日へ」と言います。
そして、日付変更へのカウントダウンが行われます。
23時59分56秒、57秒、58秒、59秒と時間が進んでいき、秒針が00秒になったところで、場面が暗転
虐殺ハッピーエンドは終了となります。
片桐と真琴の関係、片桐の最後を考察
虐殺ハッピーエンドには様々なクレイジーなキャラクターが出てきますが、その中でも最もクレイジーで作中、最も強烈なインパクトを残したのが片桐千春です。
登場時はマジメで優秀なクラスの優等生という描かれていますが、ストーリーが進めば進むほどに狂ってきて最後は狂気の姿を見せるわけです。
片桐のキャラクターの変遷を書きながら、片桐千春というキャラクターを深掘りしていこうと思います。
- 片桐千春の変遷
- ①元々はマジメな優等生、しかし母親の愛人によってレイプされた経験があり、家庭の苦しみから万引きに手を出す。
②万引きをクラスメイトに見つかった事で、カンニングの強要させられ、最終的にレイプをされる
③真琴の殺人を目撃、犯行を目撃した事を真琴に告げ、母親の愛人の殺害を依頼
④殺人を犯す真琴に惚れ、好意を寄せる
⑤タイムリープの秘密を告げられ、自らも真琴の犯行に加担する事を決意
⑥恋愛感情を拗らせ、弥生や詩織を殺害しようとする
⑦数々の暴挙によって真琴に石によって殴打、殺害寸前の状態にされてしまう
⑧倒れているところを発見され入院、意識回復後に医師を殺害して真琴を追う
⑨弥生を見つけて襲い掛かるが、返り討ちに遭い死亡
かなり凄惨な人生を過ごしていますよね。
母親の愛人である棚橋は片桐に薬物も強要していたシーンもあったので、万引きをしてしまうような精神状態になるのは仕方がないですよね。
それよりもよくマジメな優等生になったのかと思わせる生い立ちです。
自分をレイプしたクラスメイトを殺害する姿に、ヒーローを見出した事も十分に分かりますし、棚橋の殺害依頼も、真琴に好意を寄せる理由も分かります。
ただ、そこからの弥生、詩織殺害はかなりエグイですよね。
弥生に関しては実際に2度殺害をしており、嫉妬の度合いが常軌を逸しています。
かつて自分を苦しめた母親や棚橋のように、私利私欲のために真琴を苦しめる存在になります。
最終的にはその猟奇的な行動から真琴により石で殴打され死亡、かと思いきやある場所で入院していた片桐が復活します。
ここの描写、特に片桐の顔は恐ろしいの一言ですが、本当に恐ろしいのは片桐の顔ではなく、真琴に心を奪われて狂気を全開にして真琴を我が物にしようとする執念ですよね。
最後は弥生によって殺害されてしまいますが、再登場したこと自体が、片桐千春というキャラクターがどれだけ虐殺ハッピーエンドにおいてインパクトを残したキャラクターなのか、良くも悪くも人気があったキャラクターなのかと言う事を物語っていますね。
片桐千春というキャラクターを見るだけでも虐殺ハッピーエンドは見る価値があると思います。
弥生と真琴の関係、弥生の最後を考察
片桐千春と対象的に、虐殺ハッピーエンドの唯一の良心と言えるキャラクターが新庄弥生です。
真琴の幼馴染で天使のような笑顔を持つ弥生ですが、この漫画に登場したからには最後はしっかりと狂っていきます。
片桐とはまた違った変遷を辿っているので、新庄弥生というキャラクターを深掘りしていこうと思います。
- 新城弥生の変遷
- ①幼稚園からずっと真琴を見ており、恋心を寄せている。
②真琴の様子から追い詰められている事を悟り、力になる事を申し出る
③真琴と一緒にタイムリープした後、タイムリープを共有する事になる
④真琴と一緒に殺しを行って日数を進める事を決意
⑤病院から抜け出した片桐に襲われたことで、片桐を死亡寸前まで追い詰めるが、九十九に捕まり逮捕され収監
⑥真琴をタイムリープさせる為、自殺
弥生は純真で清廉潔白な女性として描かれており、片桐とは正反対のキャラクターとして描かれたと考察しています。
片桐千春が自分の欲望に正直で凶行を繰り返していく中、弥生はいつも真琴の事を第一に考えて献身的な行動を続けて行きます。
真琴からタイムリープと殺人の事実を突きつけられた時も、片桐同様に協力を申し出て、数々の惨劇を目の当たりにしていきますが、常に殺人と言う行為に恐れを抱き、心が闇に染まった中でも良心を忘れる事はありませんでした。
そして最後は真琴を助けるために自殺。
虐殺ハッピーエンドに出てくるキャラクターの中では最もまともなキャラクターだったので、最後に亡くなってしまうのは残念の一言
「虐殺ハッピーエンド」は映画化されるのか?
ここでは虐殺ハッピーエンドが映画化されるのかどうかという点について考察をしていきたいと思います。
結論から言うと「映画化される可能性は高い」と考えています。
なぜ映画化される可能性が高いと思うのかその理由を以下に記載します。
虐殺ハッピーエンドが映画化されそうな理由
・宮月新作品である
・ストーリーのインパクトが抜群に強い
・続編がリリースされている
・ゲーム化されている
・宮月新作品である
虐殺ハッピーエンドは宮月新さんが原作を担当しています。
宮月新さんが原作を手掛けた作品は過去に多数存在していますが、第1作になった「不能犯」、2作目となった「シグナル100」は共に映画化されています。
不能犯は2017年に松坂桃李さん、沢尻エリカさん、新田真剣佑さん、間宮祥太朗さんら豪華キャストで映画化
シグナル100は2019年に橋本環奈さん、中村獅童さんら豪華キャストで映画化
虐殺ハッピーエンドは宮月新さんが手掛けた3作目の作品になります。
1作目、2作目が映画化されている事から3作目の「虐殺ハッピーエンド」も映画化される可能性は高いと考察できます。
・ストーリーのインパクトが抜群に強い
虐殺ハッピーエンドはとにかくエグくて、グロい描写が多くて、インパクトが抜群に強いんですよね。
ここまで過激だと映像化はどうなのかという見解もありますが、同レベルにグロさがあったシグナル100も「R15」ながら映画化されているので許容できる範囲だと思います。
ストーリーの面白さは抜群で、私的には「不能犯」や「シグナル100」よりも「虐殺ハッピーエンド」の方が好きですし、物語の起承転結も前2作よりもしっかりと組み立てられており、コミックス8巻に纏められているので、そういった点からも映画化出来るレベルにあると考察します。
・続編がリリースされている
「虐殺ハッピーエンド」は2019年に終了となっていますが、2023年より「虐殺ハッピーエンド〜蒼の章〜」がリリースされています。第1作と同様に作画は向浦宏和さんが担当しており、人気を博しています。
続編がリリースされているタイミングでの映画化は十分に考えられそうです。
・ゲーム化されている
虐殺ハッピーエンドは2018年にニコニコ動画のRPGアツマールの中でゲーム化されています。
この現象自体はそれほど映画化に関係はないと思いますが、ゲーム化はそもそも人気があるというバロメーターになるので、映画化される後押しにはなりそうです。
【ま と め】
虐殺ハッピーエンドは個人的に大好きな作品なので、映画化を期待したいですね。