
2011~2013年に「ジャンプ改」にて連載された大人気漫画「予告犯」。
ここでは、漫画版のラスト(最終回)のあらすじを振り返った考察。映画版のラスト(最終回)のあらすじを振り返った考察を行います。
初版発行日 | 2012年4月10日発売 |
作者 | 作者:筒井哲也 |
巻数 | 全3巻(コミックス) |
ジャンル | サスペンス |
Wikipedia | 予告犯のWikipedia |
あらすじや最終回の解説・考察を行うためネタバレを含む場合があります。※予告犯を見ていない方は最初に漫画を読んで頂くことをオススメします。
予告犯のあらすじ
新聞紙で作った被り物をした男達。謎の集団がマンガ喫茶の中で革命を起こそうとしていた。
ネット上には罵詈雑言が溢れる中、犯罪予告を行う新聞紙男たちは食中毒事件を起こした食品加工会社に制裁を加えると宣言。
この男達に対するのはサイバー犯罪対策課警部補の吉野絵里香。
新聞紙男たちの制裁を実現させるのか?吉野は新聞紙男を逮捕する事は出来るのか?
漫画版「予告犯」の最終回
ゲイツはネット民から非難を受ける中、世間に対して最後の動画を公開。
動画の内容は「自分達を24時間以内に殺す」というもの。ゲイツ達4人は、青酸カリが入ったカプセルと睡眠薬を飲んで横たわります。
吉野が到着したころは既にゲイツは死んでいましたが、他の3人はまだ息がありました。
ゲイツは吉野宛に動画を残していた。そこには『ネルソン・カトー・リカルテ(ヒョロ)の骨が埋まっている事を発見して、父親の元に届けてほしい』というメッセージが残されていました。
< ここからが最終回です >
ゲイツこと奥田宏明。彼は今回の結末を迎える上で、3つの仕掛けを残していました。
- ゲイツ(奥田宏明)が残した3つの仕掛け
- ①自分たちの素性を警察に明かして、ネルソン・カトー・リカルテを父親に引き取らせる。
②自分1人が死に、残った3人は生かしておく。
③生かしておく際に「奥田に脅されて3人は無理矢理協力させられた」というシナリオを作る。
奥田の計画を裏付けるように、協力者の3人(カンサイ、メタボ、ノビタ)は裁判所で”日々の肉体労働の過程で付いた傷や痣を、奥田からの暴力で受けたものだ”と主張。
ノビタは自分の腕についたハンダゴテの跡について暴行だと主張。3人は”奥田からの支配を逃れようとしていた”と証言した事で、カンサイ、メタボ、ノビタの3人への判決は懲役4~5年と軽い刑となった。
奥田は計画通り「仲間に裏切られた哀れなテロリスト」という地位を得たのだった…
3年後、F市刑務所にて。
刑務所の文化祭でカンサイ(葛西智彦)はギターを持って歌唱。カンサイは大切な一人の友人を亡くした事を告げ、事前に伝えた歌詞を変え、魂を込めて歌い、刑期が1年延長される。
メタボ(寺原慎一)は懲役5年6ヶ月の中、真っ当に刑をこなし模範囚となる。
ノビタ(木村浩一)は懲役4年で仮釈放されるが、3年前に受けたハンダゴテのケガにより、右肘に火傷痕と神経麻痺が残った。
吉野は奥田の計画に乗ってネルソンの骨を掘り出し、こう思います。
全てを予告し、そしてやり遂げたあの男に敬意を表して、私はあと少しだけ踊らされてみようと思う
ネルソン・カトー・リカルテの墓からの風景が描かれ、「予告犯」は終了となります。
映画版「予告犯」の最終回
シンブンシ(奥田)は最後の予告を行う。最後の配信では『4人は青酸カリを飲み集団自殺する』映像を配信。
集団自殺を謀りますが、死んだのは奥田のみ。他の3人は生き残るのでした。
ゲイツは仲間を守るために事前に薬をすり替えていました。生き延びた3人は、事前にゲイツが用意したシナリオ通りに、すべてを死んだゲイツのせいにして減刑をする事になった。
奥田の目的は2つ。
- ヒョロに会いたいという気持ち
- ヒョロの願いを叶える為にやったこと
この事実が明かされたところで、映画予告犯は終了となります。
映画版と漫画版のあらすじ・最終回の違い
「予告犯」の映画版と漫画版(原作)は、それほど大きな違いはありませんでした。
漫画の実写版としては”かなり忠実に丁寧に撮られた作品だな”という印象を受けた中で、若干の違いがありましたのでピックアップしてみました。
- 「予告犯」の映画版と漫画版の違い
- ①シーシェパードとの対決がない
②ラストシーンの簡略化
①シーシェパードとの対決がない
食品工場への制裁や政治家への妨害活動など、様々なテロ活動をしていたゲイツ達。漫画ではシーシェパードとの対決シーンがありましたが、映画版では丸々カットされていました。
全体のシナリオとの関連性が薄かった事から、尺を縮めるためカットされたという感じですね。まあ映画は時間が限られているので仕方がないですし、カット部分としては妥当だと言えます。
②ラストシーンの簡略化
映画版だとゲイツ(奥田)が死んで、残りの3人が浜辺で誕生日パーティーをしているシーンが描かれた後、ゲイツの動機が描かれて終了となります。
かなり淡白に終わってしまったと感じました。漫画版だと吉野の回想を通じてゲイツ(奥田)との対話が行われます。この対話が非常に味わい深くて良かったんですよね。
個人的には「なぜここをカットしてしまったんだろう?」と思う位にいいシーンだったと思うので、少し残念でした。
まとめ
全体的に映画版「予告犯」は、原作(漫画)のシナリオを忠実に表現していました。
ただ、エンディングの違いなどを見る感じでは、映画版の方は「予告犯」という作品が持つ重さを少し軽くして”万人受け”するようなアレンジが加えられていました。
それぞれに良さがある作品に仕上がっています。映画も2時間かからないですし、漫画も全3巻と短編でまとまっており、読みやすい仕上がり。是非双方のバージョンを楽しんでください。