漫画「マトリズム」最終回解説と考察!実写・実話の事件はあったのかも調査してみた(ネタバレ注意)

漫画「マトリズム」最終回解説と考察!実写・実話の事件はあったのかも調査してみた(ネタバレ注意)

2017~2020年に「週刊漫画ゴラク」にて連載された大人気漫画「マトリズム」において最終回の解説と最終回を読んだうえでの考察を行っていき、モデルとなった実際の事件があるのかを考察していきたいと思います。

初版発行日‎‎‎‎2017年11月20日発売
作者作者:鈴木マサカズ
巻数全10巻(コミックス)
ジャンルサスペンス
WikipediaマトリズムのWikipediaはなし

マトリズムのあらすじ

麻薬取締官、通称「麻取」
厚生労働省、地方労働局、麻薬取締部に所属する役人
拳銃を帯行することも許された司法警察官でもある

麻取として働く草壁圭五郎は麻薬を心から憎んでおり、法を超えた強引な捜査で、様々な麻薬常用者や麻薬を流通させる者を逮捕していました。

仕事を行う中で、虚しさを感じながら職務にあたる中、己の点数稼ぎと割り切って仕事をしている同僚の冴貴健一

主任情報官である久留米高志の下で働く彼らは麻薬に関わる様々な事件に対面しながら事件を解決していく

「マトリズム」最終回のあらすじ

「マトリズム」の最終回あらすじについて解説します。

以降はネタバレを含みますので「マトリズム」を読んでから見て頂くことをオススメします。

最終回のあらすじ

草壁圭吾郎は自分の妹を薬漬けにした麻薬の売人「アオヤギ」を追いかけていた。

リサイクルショップ店主の才原孝利を逮捕した時に才原が持っていた顧客リストに「田中」という名前があった為、草壁と冴貴は田中を探して捜査を始めていきます。

アオヤギはA市にいる事を確信した草壁は、さらに捜査を深めていきアオヤギが住んでいるアパートを特定し、突入しますが、そこには田中の死体が転がっていました。

その後、アパートをずっと張っているとアオヤギが現われ、草壁たちはアオヤギの自宅に入り事情を聴取します。

アオヤギは田中を殺害した事を自白。
草壁は自分の妹(草壁朱音)の事を覚えているかと問いますが、アオヤギは自分は麻薬の売人で多くの人間を相手に商売をしてきたのだから覚えているはずがないと一蹴

草壁の感情は一気に高ぶります。

< ここからが最終回 >

アオヤギの胸ぐらを掴む草壁に対して、アオヤギは挑発を行います。

しかし草壁はその手を放してこう言います。

「不憫だな。おまえは心底、根本から終わってる。どうすることもできない」

アオヤギはそんなことは分かっていると強がりますが、草壁は分かっているフリをしているだけだと諭し、こう言います。

「この世にはおまえの知らない本当の闇がある。おまえはこの先、時間をかけて少しずつそのことを実感していく。しかし、いくら実感したところで、おまえには入り口も出口もない。おまえは俺が出会ってきた連中のなかで誰よりも不憫で救いようがない」

そうしてアオヤギは逮捕されるのでした。

そして半年後…

アオヤギの裁判での判決が出て、一審の判決は死刑となります。

弁護団が控訴をした事を知った草壁はアオヤギも普通に死にたくないんだと感じるのでした。

仕事を終えて家に帰った草壁は自宅のポストにかつて情報屋だった根津(ねずみ)からの手紙が入っていた事に気付きます。

結果、麻薬によって死んでしまった根津を想い、悲しみの表情を見せる草壁…

場面が変わり冴貴と一緒にいつも通り業務にあたる草壁の姿を描いたところで「マトリズム」は終了となります。

「マトリズム」最終回を見たうえでの考察と感想

「マトリズム」の最終回を見たうえでの感想や考察を行います。

以降はネタバレを含みますので「マトリズム」を読んでから見て頂くことをオススメします。

最終回を見たうえでの考察と感想

「マトリズム」の最終回はシナリオ的に大きな盛り上がりを見せる事無く、麻薬の売人アオヤギを逮捕した後にまた通常業務を行っていくという静のエンディングとなりました。

漫画としては派手に”巨大麻薬組織と戦って潰した”みたいなシナリオの方が盛り上がるのですが、「マトリズム」という漫画はあくまでリアルを伝える事に重点を置いており、麻薬の売人を裁いたところでこれは氷山の一角であり、世の中のどこかでは常に麻薬の取引がなされており、麻薬を常用して人生を狂わしている人がいるというメッセージを伝えてくれるエンディングでした。

全10巻の中では様々な事例が取り上げられていましたが、どのエピソードもとてもリアルで現実に起こった事件をモデルにエピソードを作っているんだろうなと推察できる作りになっていました。

麻薬は人生を狂わせるという前提で描きながらも、人間の心には弱い部分があり、その弱さが前面に出てしまった時に薬物の誘惑が迫ってくる話が多かったですね。

薬物に限らず、宗教や詐欺など人が弱っている時は自分を破滅させる様々な誘惑が迫ってきます。

その予防策としては日々の生活を充実させる事、凝り固まった常識に縛られない事なのかなと感じます。

社会に出るとどうしても日常が固定してしまいます。
そうなるとどんどん視野が狭くなったり、日々のストレスに鬱屈した気持ちになったり、自分の心・キャパシティが狭く、苦しくなっていってしまいます。

そうならない為には新しい事にチャレンジしてみたり、新しい人に出会ってみたり、本や動画などで新しい知識を得てみたりすることが大切なのではないかなと思います。

「マトリズム」が見せた地味なエンディングはそれゆえにリアルで現実の自分を考えさせてくれる素晴らしいエンディングでした。

「マトリズム」と似た事件はある?

「マトリズム」では様々な立場の人間が大麻や脱法ドラッグなどに手を出す物語になっています。

おそらくどの事件も実際にモデルとなった事件があって描かれたのであろうと考察していますが、マトリズムの物語と酷似している事件について調査してみました。

2件ほど該当する事件を見つけましたので紹介します。

事件1 高橋祐也容疑者、覚せい剤で逮捕

事件の概要(引用)

女優・三田佳子さんの次男、高橋祐也容疑者が覚せい剤で5度目の逮捕!?

元俳優で三田佳子さんの次男の高橋祐也容疑者が覚醒剤を所持した疑いで逮捕されていたことが分かりました。高橋容疑者が覚醒剤で逮捕されるのは今回で5回目です。
覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕された元俳優の高橋祐也容疑者は先月、東京・港区の自宅で覚醒剤およそ0.01グラムを所持した疑いが持たれています。
捜査関係者によりますと高橋容疑者の知人から警視庁に高橋容疑者の薬物に関する相談があり、捜査を進めたところ先月、高橋容疑者が世田谷区内の病院にいるところを確保したということです。
調べに対して高橋容疑者は容疑を認めているということです。高橋容疑者が覚醒剤事件で逮捕されるのは今回で5回目です。

引用元:https://www.fnn.jp/articles/-/433885

マトリズムで描かれた事件と概要
女優 鹿宮寺恵子(64)の場合 6巻参照

女優である鹿宮寺恵子の息子が覚醒剤取締法違反により5回目の逮捕
鹿宮寺恵子が毎月100万円もの大金をお小遣いとして与えていた事が息子を増長させた結果としてマスコミを騒がせた。
そして最後には鹿宮寺恵子自身も覚醒剤使用で逮捕されるのでした。

マトリズムは1つのストーリーが数話に渡って描かれますが、鹿宮寺恵子のエピソードは1話完結となっています。

5回目の逮捕という内容、お小遣いで100万円もの大金を渡していたという点からも完全に三田佳子さんの事件をモデルにしている事が分かります(三田佳子さんが高橋祐也さんに渡していたお小遣いは50万円と報道されています)

各巻ごとのあらすじ・ストーリー紹介は以下にて紹介しています。

事件2 キメねこ氏、大麻取締法違反で捕まった経歴が判明

事件の概要(引用)

同人誌で「この作品はフィクションです」としながらLSDやマジックマッシュルームなどの使用レポートを漫画にして出版していた作家の「キメねこ」氏が、2021年に大麻取締法違反で逮捕され、懲役6ヶ月執行猶予2年の判決を受けていた事を、自身のTwitterアカウントで明らかにした。

逮捕後の流れは「留置場完全レポート」と題したマンガで綴られている。マンガによれば氏は最初から容疑を認め「大麻は米兵から買った」「フェアトレードの大麻だった」などと供述していたため大した追求もなく、また直前に「大麻でパクられちゃったボク」という本の仕事を受けており、その経験が役に立ったとしている。なお警察には「キメねこ漫画」についてもあれこれ聞かれたが、一応表現の自由だからか検察には聞かれなかったなども伝えている。

Twitter上では、以前から同人誌を知っていた人々から「本物だったな」「やっぱり」と言った納得の声が上がっている他、バズって新たに知った人からは「日本は大麻犯罪にゆるすぎる」「全然反省していない」という批判の声などが寄せられているようだ。タレコミ子的にはむしろ今まで捕まってなかったんかという感想である。

引用元:https://www.fnn.jp/articles/-/433885

マトリズムで描かれた事件と概要
漫画アシスタント 小村和宏(36)の場合 4~5巻

漫画アシスタントである小村和弘は陰キャで童貞の小村和宏は「ホリリズム」という漫画を描いている堀町ホリオの元で働いていました。

堀町は「漫画家志望ならいろいろ経験した方がいいって…、漫画家はクスリでも不倫でもバンジージャンプでもなんでもネタになるんだからさー」という理念を持って小村に覚せい剤を勧めていきます。

小村は想いを寄せる同じ職場のアシスタントである宇佐美ひかりが堀町の愛人である事を知り、堀町に貰った覚せい剤に手を出そうとしますが、寸前で留まります。
結果、堀町は警察によって逮捕され連載は終了します。

キメねこさんの事件をモデルにしたという形ではありませんが、漫画家が大麻・覚せい剤に手を出すという構図は漫画内の事件と酷似しています。

キメねこさん以外にも大麻・麻薬による逮捕の噂がある漫画家がいますし、児童買春・ポルノ禁止法違反や強姦などで逮捕された漫画家の事件もピックアップされています。

私の見解・考察としては漫画のネタとしてやっているというよりも閉鎖的な空間で行われる激務の仕事なので、精神的に苦しいのであろうなと推察しています。
(もちろん犯罪は許される事ではないのですが…)

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