「マンホール」は2004~2006年に「週刊ヤングガンガン」にて連載された人気漫画。コミックスは全2巻がリリースされています。
今回は漫画「マンホール」のあらすじ・最終回を解説します。
初版発行日 | 2022年8月19日発売 |
掲載誌 | 週刊ヤングガンガン |
出版社 | スクウェア・エニックス |
作者 | 作者:筒井哲也 |
巻数 | 全2巻(コミックス) |
ジャンル | サスペンス |
Wikipedia | マンホールのWikipedia掲載なし |
「マンホール」登場人物一覧
漫画「マンホール」の登場人物を一覧形式でまとめてみました。
終盤から登場する人物もいますので「マンホール」を読んでいない方は先に漫画を読んで頂くことを推奨します。
「マンホール」に出てくる登場人物は以下の通りです
- 登場人物
- 溝口健:笹原署刑事課
井上菜緒:笹原署刑事課
雨宮洋一:大学生
関口美香:大学生
堀川義人
堀川晴生
水野正章:風景写真家
黒川宏
滝本修一:笹原署刑事課
小泉孝一郎::笹原署刑事課課長
戸川弘樹:笹原保健所所長
「マンホール」のあらすじ
「マンホール」本編のあらすじを紹介します。
まだ「マンホール」を読んでいない方は最初に漫画を読んで頂くことをオススメします。
1巻のあらすじ
事件
12月7日 PM4:32
いつも通りの笹原市中央商店街の中を裸で全身血だらけの人間が現れ、徘徊を始めます。
血だらけの人間は雨宮洋一に大量の血を吐きかけられた後に絶命。
事件後、刑事課の溝口健、井上菜緒が現場調査を行います。雨宮は恐怖のあまりスマホを落として逃走していました。
溝口は雨宮の携帯を使って電話をします。
12月7日 PM7:16
警察は血だらけの男の死体を調査。解剖をしている最中に、今まで見た事がない細長い寄生虫が検出されます。
堀川義人
12月8日 AM10:30
身元調査から堀川義人という人物である事が発覚。事件への手掛かりを探すため、溝口達は堀川の自宅へと向かいます。
堀川の自宅を訪ねるとゴミ屋敷の中から父親が現れます。部屋の中に入って父親から事情聴取をする溝口。
- 父親の証言
- 堀川義人はギャンブル中毒で、父親に度重なる暴力を振るっていた。
父親は殺意を必死に抑えながらも、1週間前にギャンブル中毒と暴力を更生する為の施設に預けた。
父親は預けた施設の名前は知らなかったものの住所を提示。溝口たちは施設へ向かおうとする途中に検死医から連絡が入り、警察署へと戻ります。
一方、雨宮は昨晩普通の生活をしていましたが、今朝は元気をなくし、皮膚にできものが発生。体調の不良から自分に起こった事を警察に伝えようと自首します。
雨宮洋一
12月8日 PM0:08
警察署に出頭した雨宮洋一。溝口は検死医に呼ばれた事で、井上が雨宮の対応を行います。
最初はまともに会話していた雨宮。しかし寄生虫に感染した事から体調を大きく崩し、事情聴取中に警察署を出ていきます。
警察署を出た雨宮は、更なる体調不良に襲われ、フラフラと道路に飛び出すとトラックに引かれ、死亡するのでした。
感染
検死医に呼ばれた溝口は報告を受けます。
- 検死医の説明
- 死亡した堀川義人の右眼にフィラリアを呼ばれる寄生虫が4匹潜んでいた。
犬や猫に感染する事はあるが、人間に感染するフィラリアは今までなかったことから新種の寄生虫だと判断できる。
新種のフィラリアは視神経から視床下部へと侵入。視床下部は人間の欲望を司る場所で、基本的な欲求が奪われる恐れがある。
感染は蚊やアブなどの吸血活動をする昆虫によって行われる。
一方、雨宮の彼女も寄生虫に感染。体調を崩し、まともな思考が出来なくなっていました。
検死医の説明を受けた溝口は、井上からの報告を受けて、警察署の外へ出ていきます。すると車にはねられ死亡している雨宮を発見するのでした。
穴
雨宮を検死した結果、堀川と同様にフィラリアに感染していることが発覚。
堀川の死体には脳波計の電極痕が発見されたことから、生前通っていた施設が関係していると判断する溝口。規格外の感染力と殺傷能力を持つ感染症が関わっているため、殺虫剤の所持と抗体薬の接種を義務付けたうえで捜査に移ります。
12月9日 AM11:15
溝口は部下の井上と共に施設へと向かうものの、父親から提示された住所にあるのは空き地。
何も発見できずに行き詰まる中、溝口は空き地にある不自然なマンホールを発見。近くにあったバールでマンホールをこじ開けます。
施設
溝口は井上に虫刺され用の対策を行い、マンホールの中に入らせます。
降りた先には椅子とテーブルが置いてあり、何かしらの施設のようなスペースが。井上が調査を進めるとある一冊の雑誌を発見。雑誌の写真を撮るとき井上の背後には人体実験を受けている人間の姿。
井上は後ろの人に気付かず、マンホールを脱出。
一方、刑事の滝本はハローワークで堀川の父親晴生に事情を聴取。
晴生は1ヶ月前に風景写真家の水野正章から声を掛けられたことを明かします。
写真家の男
12月9日 PM0:00
以下は晴生の証言。
- 水野正章について
- 水野は怪しい雰囲気を持ち、大金を持っていることが分かる風貌。
食事に誘われた晴生は水野の野望と計画を聞かされる。
水野の野望とは、「この世に蔓延るクズを浄化すること」
まずはクズを地下施設へ隔離して脳手術を施す。ここから計画を始めていく。
水野はボツワナの地で、有害なクズたちを浄化する方法を獲得。計画に移そうと考えていた。
片目族
井上がマンホールから持ち出した雑誌には、水野正章が撮影した写真と寄生虫に片目を奪われた「片目族」の特集記事がありました。
軍隊のように規則正しく労働に明け暮れる片目族。片目族はフィラリアに感染したことで、欲望を失い、規律だけを守る存在へと変貌していました。
水野は蚊を媒体として国民全員にフィラリア感染を行おうと目論んでいました。
12月9日 PM16:10
昨晩雨宮と一緒にいた関口美香はフィラリアに感染。体内で寄生虫が発生したことから部屋の中には蚊が充満していました。
そして換気口から蚊が外へと出ていきます。
確信犯
晴生に計画を話した水野。自らも片目が失っていることを見せて、堀川義人引き取りの承諾を得ます。
12月9日 PM15:55
溝口達が調査を進める最中、マンホールから一人の人物が這い出てきます。
遭遇
12月9日 PM16:15
一人の女子高生が自転車を漕いでいると蓋の空いたマンホールに躓きます。
自転車から転び、周りを見渡すと全裸で血まみれの男が佇んでいます。叫びながら自宅に戻る女子高生。必死に家に帰り、カギを締めようとしますが、男はベランダから自宅へ乱入してきます。
2番目の男
進入する男を撃退しようと物を投げる女子高生。男はその場に座り込み「ごめんなさい」と謝罪をします。
12月9日 PM17:45
堀川晴生への聞き込みを行った滝本が警察署に戻り、水野のことを含めて刑事たちに報告。水野が堀川義人にクロロホルムを摂取させていたことなどを伝えます。
話の途中で、女子高生宅に侵入した全裸男の通報が入ります。
証言
警察の介入によって全裸男は確保。警察署に保護されます。
全裸男の名前は田村雅樹。26歳、無職。過去に犯罪歴のある人物でした。
- 田村の犯罪歴
- 幼児への暴行を行ったのち、暴行の様子を録画したテープを相手家族に送りつけた。
目撃証言により、事件発生から6時間のスピード解決。
溝口は田村への聞き込みを行いますが、水野正章についての情報は聞き出せません。
黒い霧
関口美香の自宅換気口から飛び出た蚊は近隣の住人に吸血を行い、フィラリアを伝染させます。
12月10日 PM16:10
田村雅樹と堀川義人の行動を検証する溝口。2人はフィラリアに感染したことで罪の大きさを認識して謝罪を行おうと行動していたと推理します。
12月10日 PM16:25
関口宅から大量の蚊が飛び出します。
最悪の事態
12月10日 PM16:50
飛び出した蚊が近隣住民を刺し、フィラリアの感染を広げます。
警察内で調査をする溝口。フィラリアを感染させるヒトスジシマカであることが判明、冬には表に出ない種類であることから胸を撫でおろします。
12月10日 PM17:20
雨宮のスマホにメールを送った関口美香の自宅を訪ねる溝口と井上。
関口の自宅前に到着しますが、近所の家の窓から片目を寄生虫に喰われた子供が覗いている事を発見。危機を察知した溝口は強引に入ると、血まみれの母親が意識朦朧の状態でしゃがみ込んでいました。
母親を介抱しようと近づいた溝口は、母が持っていた包丁を足に刺さり、フィラリアに感染します。
2巻のあらすじ
脱落
12月10日 PM17:30
溝口から遅れて自宅へ突入した井上。片目を失った子供を発見し保護。
二階へ向かうと包丁の刺さった溝口は発見。溝口は自身に「感染の疑い濃厚」と判断し、感染対策をした救急車を呼ぶよう指示します。
外で待機する感染症対策班は、関口家の通気口からヒトスジシマカが大量に発生している事に気付くのでした。
竹豊町の悪夢
12月10日 PM17:50
隣人宅から密閉された状態で運び出される親子と溝口。
ヒトスジシマカを発見した感染症対策班は防虫剤を散布して関口宅へと進入。その中にはフィラリアに感染し、大量の蚊に刺された関口がいました。
関口美香
関口は感染症対策班によって病院に運ばれます。現場に残った対策班は部屋の中に入り、大量に発生した蚊を駆除。
蚊が外に出たことにより緊急網を敷き、近隣住民への血液検査を実施。
12月10日 PM18:30
密閉された部屋で検査を受ける溝口。鑑識によって検査結果が発表されます。
偶然
溝口の結果は陰性。フィラリアへの感染は認められませんでした。
12月10日 PM19:05
感染症対策班は蚊が嫌う周波数のCDを使い、1ヶ所に蚊を集めての駆除に乗り出します。井上は関口美香の部屋に入り、現場の検証を行います。
季節外れで異様に繁殖した蚊の正体が、自宅で飼育していた魚「ノーザン・パラムンディ」であることが発覚。幾重にも重なった偶然が生んでしまった悲劇であることが分かります。
制圧
緊急事態となるため、テレビ報道で注意喚起が行われます。交通規制がかかり、大騒ぎに発展。
対策班は真冬の低い気温を味方につけて、一気に駆除。ヒトスジシマカを駆逐。
溝口と井上は現場付近に到着し、様子を伺います。すると怪しい人物を乗せたタクシーを発見します。
追跡
感染拡大は防いだものの、今回の騒ぎでテロ事件が起きたと話題になります。この事件を機に警察は事件の特別捜査班を作り、本格的な捜査に乗り出します。
12月11日 AM10:35
溝口と井上は田村雅樹の自宅を捜査。家を調べると燃やされて丸めた紙くずを発見するのでした。
12月11日 AM11:20
捜査班は水野の自宅を調べあげ包囲。家宅捜索を行います。
脅迫
12月11日 AM10:50
田村宅を調査している溝口。燃やされた紙くずのヒントを得るため、FAXの原紙を調べます。
すると何者かに脅迫され、指定の場所に呼び出されていることが判明。コンビニから送られていたため、溝口は現場へ。
店員へ聞き込みを行うとFAXを送ったのは水野ではないと証言します。
12月11日 AM11:25
捜査班が水野の家を訪問。すると水野の妻が対応、水野は2ヶ月前からアラスカに出張に行っていると証言します。
犯人は水野を語る何者かであることが分かります。
12月11日 PM3:50
捜査が暗礁に乗り上げて、息詰まる捜査班と溝口。そんな中、井上は水野が掲載された「ボツワナ紀行」がネット販売されていることに注目。
購入した人物の顧客リストを獲得するため、ハッカーに依頼をかけます。
協力者
12月11日 PM17:00
ハッカーの喜多嶋は井上の依頼によって、顧客リストを獲得。
2ヶ月以内に購入した50歳以上で検索をかけると「黒川宏」という名前を発見します。
黒川を知っている滝は素性を明かします。
- 黒川宏の素性
- 田村が過去に起こした性的暴力被害女児の祖父であり、田村によって暴行を録画したビデオテープを送られた人物。
黒川は北海道で寄生虫の研究をしており、直近に渡航歴もあり。マンホールの中にあった脳波計も研究所にあった型番と一致したことから、犯人と断定され指名手配をかけます。
それでもあなたは間違っている
12月13日 AM1:30
滝は黒川についての情報をまとめます。
北海道で感染が広がっていたエキノコックス症の対策研究班の班長を務める。
真面目で寡黙な職人気質。一方で孫娘を溺愛していた。
4年前に溺愛していた孫娘が性被害に遭う。蝋細工のようになった孫娘に対して献身的に尽くす黒川の元に田村からビデオテープが届く。身内であれば5分も見られない映像を、黒川は脳みそに焼き付ける。
精神が崩壊した黒川は、片目族とフィラリアの存在を知る。復讐のため地位や財、全てを投げ出して研究を完成させる。
笹原市役所の人生相談役に就任し、堀川義人の母であるトシ江から相談を受ける。その情報から黒川は晴生に接触、水野正章と名前を変えて、今回の事件を実行するに至る。
12月13日 PM15:30
溝口はタクシーで目撃した人物が黒川であることを確信し、聞き込み調査を実施。
行先と「次の計画に移る」という話していたことを知ります。
溝口健
12月13日 PM15:45
笹原保健所では一時期陰性と判断された溝口の血液が、陽性反応を見せていることに気付きます。
12月13日 PM17:15
溝口は黒川が下車した槙野市へ向かい、黒川が行う次の計画を止めようとしますが、フィラリアによる症状が出て自動車事故を起こしてしまいます。
覚悟
事故を起こした溝口は死を覚悟し、井上に「事件の解決を頼む」と言い残します。溝口に死んでほしくない井上は薬を飲ませて救命措置を行います。
12月13日 PM18:45
捜査班は倉庫から拳銃が盗まれていることに気付きます。管理簿から拳銃を持ち出したのが井上であることが判明。溝口の敵を討つ為、拳銃を持って黒川の捜索を行います。
異変
12月13日 AM8:10
黒川は小学校へ侵入して、フィラリア菌をウサギに注入。ウサギに外傷がなかったものの小屋に荒らされた痕跡があったため、先生は警察へ連絡をします。
槙野市では小学校の件と同様に動物小屋が荒らされた形跡がありました。
12月13日 PM8:30
槙野市に着いた井上宛に、ハッカーの喜多嶋から電話が入ります。喜多嶋はネットカフェで槙野市内の動物を検索していた人物がいることを伝えます。
そして、次に行くであろう犬屋敷の場所を井上に教えます。
アウトブレイク
12月14日 AM1:25
雪が降る中、井上は黒川の到着を待ちながら、喜多嶋から黒川の計画を知ります。
- 黒川の計画
- 笹原町での騒動を見た黒川は蚊を媒介してのアウトブレイクを計画。
冬の間に動物たちにフィラリア感染をさせておけば、来年の夏に蚊を媒介して日本中に感染が広がると考え、日本人全員を感染させて犯罪を消滅させようとしていた。
犬屋敷の前に現れた黒川。井上は拳銃を向けて対峙。溝口への恨みがあることから、井上は発砲します。
黒川宏
井上が発砲した銃弾は黒川の胸に命中。血を流してその場に倒れます。
12月21日 PM1:40
事件から一週間が経過。捜査班の所長は黒川の入院先へと訪問し、事件について厳しい追及を行うことを明示します。
検査のためMRIに入ろうとする黒川は捜査班に対して、以下の言葉を残します。
これまで私が引き起こした事件は、私自身の命を賭けた挑戦だ。
探偵気取りのマスコミは、やがて事件の点と線を結び付け全ての真相を知るであろう。そのヒントを意図的にリークした。
このまま放置すれば槙野市の住民は、全員片目を失うことになるだろう。
言葉を残した黒川はMRIに入ると顔面が爆発。黒川宏の死亡によって事件は終了となります。
集結(最終話)
黒川は自分が座っていた車椅子のボルトを外し、飲み込んでいた。強力な時期に引き付けられたボルトは黒川の喉を突き破り、1時間後に死亡。
マスコミは連日、このニュースを取り上げます。
勝手に拳銃を持ち出し、発砲した井上は警察を退職。ファミレスでアルバイトをしていました。
そんな井上の元に溝口が現れます。溝口は片目を失いながらも、生きていました。
バイト後に話をする2人。溝口は井上が懲戒免職ではなく、依願退職であることを聞くと、自らが持っているコネで警察に復帰しろと伝えます。
突然の誘いに迷う井上ですが、溝口が生きていること、初めて笑みを見せたことから再び刑事になることを決めます。
漫画「マンホール」は以上で終了となります。
まとめ
ここまでマンホールのあらすじ・最終回を解説しました。
犯罪における罰則の矛盾をテーマに描かれた漫画でしたね。
田村雅樹が行った犯罪はとても酷いもの。決して許される行為ではないにも関わらず、被害者家族を煽るような動画を送り付ける非道ぶり。
これだけの非道を働いても、大した罪に問われずに日常生活に戻れてしまうんですよね。これが現状の日本であり、不完全な人間が形成する社会です。
では、田村を死刑にすればそれで済むのかというと、そんなに簡単な問題ではないと思うんです。
人の数だけ犯罪も増えますし、どこからを重罪とするかも人によって違うから…。
結局今ある法律は、このあたりが妥当であろうという曖昧な線引き。黒川が思い描くような、欲望がなく、社会のために従順になれる反面、人間としての楽しみや尊厳を失ってしまう社会。
あなたはどちらの社会がお好みですか?