2017年から「週刊ヤングマガジン」にて連載された大人気漫画「マイホームヒーロー」の各部最終回のあらすじを紹介。各最終回の感想を述べていきます。
初版発行日 | 2017年9月6日発売 |
作者 | 原作:山川直輝、作画:朝基まさし |
巻数 | 全26巻(コミックス) |
ジャンル | サスペンス |
Wikipedia | マイホームヒーローのWikipedia |
マイホームヒーローのあらすじ
主人公の鳥栖哲雄(とす てつお)は推理小説オタクの普通のサラリーマン。
妻の鳥栖歌仙(かせん)、一人娘の鳥栖零花(れいか)と3人で仲良く暮らしていましたが、零花は大学生になった事をきっかけに一人暮らしをします。
ある日、零花と会った哲雄は零花の顔に出来たアザを発見し、彼氏から暴行されているのではないかと疑います。
哲雄が零花の家にいたガラの悪い若者達とすれ違った際に零花に暴行したような会話がなされた事からDVを確信し、零花の家でDVの証拠を掴もうとします。
すると零花の彼氏であり、DVを行っていた麻取延人が家に入ってきます。
クローゼットに隠れ麻取の通話を聞いていると歌仙の実家の財産を奪い取るために零花に近づいたことや過去に二人の女性を殺害していることを知ってしまいます。
逆上した哲雄は麻取を殺害。
直後に歌仙に現場を目撃されてしまいます。
果たして、この事件はどのように発展していくのか?
1部最終回のあらすじ(1~6巻:1~48話)
延人殺害の容疑を恭一に被せる事に成功した哲雄たち。
束の間の平和を得たかのように思えたが、恭一は竹田からの包囲網から脱出。義辰へ電話をして自分の持論を述べた後に行方をくらまませてしまいます。
恭一の推論を聞いた義辰は零花の部屋にALSライト(血痕が光るライト)を持参して入ります。
部屋を調べた結果、ここで延人が殺されたことを確信するとクローゼットに隠れていた哲雄が現われ土下座で謝罪します。
義辰は哲雄とその家族を皆殺しにする事を伝えると二人は乱闘に発展。力では勝てないと悟った義辰は自らの腹を刺し、自分が死ぬことで仲間が鳥栖家の人間を殺害させようと計画します。
しかし、哲雄は義辰の遺体を奥多摩の山中に埋める事で義辰殺しを隠ぺいし、歌仙が待つ自宅へと戻るのでした。
一方、義辰を無くした窪はうなぎ稚魚の販売屋からトスという名前を聞き、情報を仕入れようとしているのでした。
1部最終回の感想
1部は話数にして48話、たった6巻というボリュームでしたが、濃密な内容でした。
零花を守るためとはいえ人を殺めてしまった哲雄。
これが普通の通り魔だったら哲雄は自首したのかもしれませんが、零花を狙っているのが半グレ集団であるという事実から逮捕を逃れて戦う事を選択するのも仕方のない選択だったと思います。
そこで繰り広げられる弱者の戦い、いわゆるランチェスター戦略。暴力では勝てない中、知略で戦う哲雄の姿はハラハラさせられました。
恭一との頭脳戦に勝利した後で迎える麻取義辰との父親バトル。
どちらも倫理観としては許される事ではありませんが、家族を守りたいという想いと家族への愛情を感じる内容でした。
もし自分の子供が殺害されたら自分はどうするんだろう?自分の子供が殺される計画を立てられたら自分はどうするんだろう?
そんなことを考えて読んでいくとより味わい深い感情が沸いてきます。
2部最終回のあらすじ(6~17巻:49~150話)
零花の祖父・祖母は隔離された村に200人程度で住んでいるカルト宗教の村。半グレ集団は零花の実家の財産を狙って侵略を考えていました。
一方、カルト宗教の教祖である鳥栖郷一郎は歌仙、零花を宗教の重役であるオガミメに担わせようと2人を拉致。
2人を救うべく哲雄は村に侵入し、郷一郎を暗殺することで半グレ集団と村人を戦わせるよう仕向けます。
激しい戦いが巻き起こり、半グレ集団は村人によって駆逐され、残った人物は半グレ集団のリーダー窪のみとなりますが、殺し屋としてのリミッターを外した窪はゲリラ戦法で村人を殺害し始めます。
卓越した窪の身体能力とスキルによって150人以上の村人が死亡、郷一郎の妻である天照、叔父の洋二らも含めて全滅してしまいます。
自らが仕掛けた事とは言え、想定外の損害を出してしまった事に罪を感じた哲雄は窪と戦う事を決めます。
哲雄は死ぬ間際まで追い詰められますが、窪の油断に付け入り、幾多にも仕掛けた罠を発動させることに成功し、窪を追い詰めます。
しかし、とどめを刺そうとした時に窪が投げた刀が胸に刺さり瀕死の状態に陥ってしまったうえに、窪には逃げられてしまいます。
警察が到着し、事件は窪が引き起こした猟奇殺人として解決され、哲雄の罪は揉み消される結果になりました。
事件から3日後、病院で目を覚ました哲雄
哲雄は駆けつけた歌仙に対して自首を考えたことを告げますが、今回の事件について窪が罪を被った結果になったことを踏まえて、今まで通りに幸せに暮らしていきたいと懇願します。
今回の事件を踏まえて零花は警察官になって窪を捕まえる事を決意。
そして、警察が行った大捜査を掻い潜った窪。まだまだ鳥栖一家のストーリーは終わりません。
2部最終回の感想
2部は話数にして102話、11巻という大ボリュームでした。
1部は頭脳戦がメインでしたが、2部はハードボイルドなアクション要素強めの内容になりました。
歌仙の村の人間180名が殺害されるという残酷な結末に導かれる前段階として、カルト宗教が収める村、人権を無視した教祖(郷一郎)の横暴、半グレ集団の凶行などなど社会問題となる様々な闇を描いていました。
そこに巻き込まれる哲雄、歌仙、零花。
結末は歓迎するべく内容ではありませんが、一般人がこのような集団の被害に遭っても、声を上げられない悲惨な事件が起きている事を踏まえると、爽快感を感じる部分もあったりと世の中は100%の善、100%の悪はないのだなと考えさせられるストーリーだったと思います。
零花が警察官になるという展開は、グランドフィナーレに繋がる伏線なのだろうなと予感させてくれます。
あと悪役ですが、窪がカッコイイです。
3部最終回のあらすじ(18~26巻:151~224話)
かつてない大虐殺が起こった後、窪と志野は姿をくらました。
零花が警察官となり、歌仙が高齢出産で零花の弟である明が誕生するなど平穏な生活を過ごしていた鳥栖家。
そんな平穏な日々が壊れるかのように哲雄は殺人事件の罪を被せられ、志野からの脅迫電話によって自宅を燃やされてしまう。
一方で窪たちを殺害する為に村からやってきた皆川ヲハと東明砂
彼らが目的を遂行しようとする間、哲雄と小沢は海外へと飛んだ窪たちの素性を探るために現地人にスパイを依頼していた…
窪・志野らが帰国した際を狙った哲雄と小沢は練り上げられた計画で窪を殺害。
その後、皆川ヲハと東明砂を利用しつつ、警察の目を欺きテロ騒ぎを起こした事で志野をおびき出します。
志野の知能と人心掌握術でヲハや小沢たちはやられてしまい、2人は森の中で格闘。志野の演技で哲雄は敗北寸前まで追い詰められますが、明砂が現れて3人での乱闘となります。
志野に致命傷を負わせた哲雄。トドメを刺そうとした時、零花と恭一が制止に入ります。
その後、複数のパトカーがやってきて怪我人は護送され、鳥栖哲雄は鳥栖零花によって逮捕されるのでした。
哲雄は自分が犯罪を犯さない世界線を想像しながら…
場面は皆川ヲハが入院している病院へ
皆川ヲハは命を失う事なく警察病院に入院していました。
隣には東明砂が寝ていた為、明砂に向けて手を伸ばしますが手錠で拘束されており触れる事が出来ません。
そして3年後
鳥栖哲雄の初公判が始まり、世間・マスコミでは大きな話題となっていました。
「あなたは鳥栖哲雄の犯した罪を許せますか?」
テレビのインタビューでそれぞれ思った事を言う放送を見て恭一は「世の中はやっぱり綺麗ごとで回すしかないんだ」と痛感します。
テレビでは哲雄の共犯となった小沢謙信が既に収監された事、関与が疑われた妻の鳥栖歌仙は証拠不十分で不起訴となった事が放送されます。
「あんたは大切な家族や人が危険な目に遭っていたら…どうしますか?」
インタビューが続けられる中で警察を辞めた鳥栖零花は警察を辞めていました。犯罪者を捕まえたいから警察になった零花…
ただ犯罪者にも色々な人がいて、様々な動機がある事を知った零花は彼らと向き合いたいと思い、弁護士になるべく勉強をしていました。
それから16年後
明は苗場と姓を変えて中堅の会社で働いていました。
ほどほどに残業をして帰ろうとする明に一人の女子社員が話しかけます。告白するような形でご飯に誘う女子社員ですが、明の心は閉ざされていました。
父親が犯罪者であると知られると傷付けられる自分。それを知られる前に人との付き合いに深入りはせずに生きてきた明
早めに断ろうと思って父親の事を話すと相手の社員は哲雄の事を覚えていませんでした。
”父親と貴方は他人で関係はない!嘘のない気持ちを教えて欲しい”と詰め寄る女子社員
『家族を守るために力の限り戦った父親』
世間への反感から本当の気持ちを言う事が出来なかった明。ずっと縛られて生きてきた。言っちゃいけないと思っていた。
その気持ちを女子社員に吐露する明は泣きながらこう言います。
「俺…お父さんのこと…好きなんだ…誰が敵になろうとも…」
明の告白を描いてマイホームヒーローは終了となります
3部最終回の感想
3部はマイホームヒーローのグランドフィナーレという事で鳥栖哲雄の罪は暴かれ逮捕されました。
裁判は良くても無期懲役。もう二度と歌仙、零花、明には会う事が出来ないという結末になりました。
ただ最終話で明が泣きながら独白をしたように「家族を守った大切な夫(父親)」が家族3人の中では生き続けていました。
歌仙は哲雄との繋がりをずっと信じており、零花は哲雄のような事情を持つ犯罪者に対して向き合いたいと考えて弁護士の道を目指す、明は自分の感情を抑えながらも父親を大好きに感じる。
司法では消えない家族の絆を描いた事と同時に、司法が持つ不完全さ。不完全な人間が作る、不完全な社会をしっかりと描いていたように感じます。
- サスペンス色が強い1部
- ハードボイルド色が強い2部
- ミステリー色が強い3部
という形でそれぞれの部で色が違ってとても面白い漫画でした。
現実離れした部分はありますが、物語として様々な要素が詰め込まれた良作です。漫画を読んでいない方は是非漫画を読んでほしいですし、ドラマを見ていない人は是非ドラマを見て欲しいです。