
2017~2020年に連載された大人気漫画「ただ離婚してないだけ」における”謎”や”伏線”について、考察を行っていきます。
初版発行日 | 2018年3月29日発売 |
作者 | 本田優貴 |
巻数 | 全5巻 |
ジャンル | サスペンス |
Wikipedia | ただ離婚してないだけのWikipedia |
伏線を説明する上で、あらすじや最終回の解説を用いて解説を行う場合があります。そのため、最初に漫画を見てもらう事をオススメします。
「ただ離婚してないだけ」を無料で読むには
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「ただ離婚してないだけ」のあらすじ
結婚7年目を迎えた柿野正隆・柿野雪映夫妻。過去の流産が原因となり、すっかり関係が冷え込み、正隆は自宅近辺担当の新聞配達員である夏川萌と不倫をしていた。
お互いに深入りすることを避けて日常をやり過ごす「ただ離婚してないだけ」の仮面夫婦であった柿野夫妻。
萌の妊娠や、不倫を見て見ぬふりをすることに限界を迎えた雪映。涙ながらの糾弾で、正隆は萌との関係の清算を決意し、雪映との関係も改善しようと動きます。
しかし、堕胎せざるを得なかった上に、一方的に別れを告げられた萌は精神の均衡を崩すことに。
雪映の懐妊を知って、半ば錯乱状態で自宅を訪れた萌は、刃物で正隆を殺害しようと襲いかかります。正隆と雪映は、必死の抵抗の末に電源コードで、萌の首を絞めて殺害してしまう。
生まれてくる子を殺人犯の子供にしたくないという雪映の意志もあり、柿野夫婦は萌の死体を自宅敷地に埋め、事件を隠蔽しようとする。
果たして、事件の結末は…
漫画「ただ離婚してないだけ」の最終回
佐野を殺害した後、平和な生活が戻ってきた正隆と雪映。しばらくすると雪映の懐妊が発覚し、赤ちゃんが生まれます。
子供に「凛」という名前を付けた二人。
雪映の両親も喜びを隠せず、正隆も子供の可愛さにメロメロの状態になっていましたが、正隆は佐野を絞殺した時のロープの手応えを忘れることが出来ません。
トラウマを払しょくする為、正隆は自らの首を絞める自傷行為を行うように。自傷行為により、なんとか精神状態を保ち、9年が経過。
子供も大きくなり、夫婦としての形を作り上げ、幸せを見つけたかに見えた2人。そんな2人の前に、ある日警察が訪問。
警察は萌を探して、正隆の家を訪れていました。
激しく動揺する正隆。雪映はシラを切るよう促しまうが、正隆は罪悪感をぬぐい切れず玄関に跪きます。
正隆は警察に対して「ごめんなさい、全部話します」と言い、雪映も正隆の様子を見て諦めるのでした。
助け合い、寄り添っていく。大丈夫、俺らは夫婦やから。
上記の言葉を残して漫画「ただ離婚していないだけ」は終了となります。
ドラマ「ただ離婚してないだけ」の最終回
佐野が逃亡した事によって、2人の生活に戻っていた正隆と雪映。
佐野死亡の報道を聞き安堵したのも束の間。佐野を手にかけた仁科に、佐野監禁の証拠を掴まれ、脅されていました。
雪映は今の平和な生活を守るために。仁科を殺す事を提案。殺人するための計画を立てます。
そして計画実行の日、正隆は1億円分の偽紙幣と包丁を持ち、待ち合わせ場所へと向かいます。
正隆の帰りを待つ雪映。しかし、正隆はなかなか帰ってこないため、雪映は泣きながら正隆を探しにいきますが、正隆は警察へ自首をしていました。
不倫の末に妊娠させた萌を殺害してしまい、佐野を監禁したこと。決して許されない行為をしてしまった正隆は、罪の意識に耐え切れずに、罰を受ける覚悟を決めたのでした。
刑務所に入る正隆の元にやってくる雪映と赤ちゃん。
雪映は「もう二度とあなたには会わない」と言いながらも、正隆との離婚は選択せず。妻として母として強く生きていく事を誓います。
「もう二度と君と会うことは無くても。もう二度とあなたと会うことは無くても。俺たちは、私たちは、夫婦。ただ離婚してないだけ。」
正隆と雪映は上記の言葉を残し、物語は結末を迎えます。
ドラマと漫画(原作)の結末の違いを考察
「ただ離婚してないだけ」は2017~2020年に「ヤングアニマル」にて連載された漫画ですが、2021年には北山宏光さん主演でドラマ化。
私はドラマ「ただ離婚してないだけ」はUNEXTで見たのですが、基本的には原作をしっかりと踏襲したうえで、実写版独自の面白さを出していると思います。
そんな中でも違いはありますので、ここではドラマと原作である漫画との結末の違いについて、考察をしていきます。
ドラマと漫画(原作)の結末の違い
・正隆の捕まり方
・佐野の生死
・テイストの違い
1.正隆の捕まり方
漫画とドラマの違いで最も大きな違いは「正隆の捕まり方」です。
漫画では警察が自宅に訪れる事で自白。いわゆる逮捕される形になるのですが、ドラマの正隆は警察に自首をしています。
警察に捕まったという点では結末は同じなのですが、ドラマでは自首をした事で、正隆が今回の殺人事件においてしっかりと向き合おうという前向きさを感じさせます。
やってしまった事は決して許される事ではないけど、自らの犯した罪と向き合い、償ったうえで人生を生きていこうという結論は、原作と比較してポジティブさを感じさせてくれます。
一方、原作である漫画の結末は『長らく苦しんでいたが、その苦しみを誤魔化してなんとか生きていきたい』という人間が持っている狡さにフォーカスが当たっている形。
エンディングとしては漫画版の方がバッドエンドに映ります。
「ただ離婚してないだけ」はかなりダークな作品なので、マスメディアであるテレビドラマでは、少し明るさを増したストーリーになったのだと考察します。
2.佐野の生死
作品の裏主役と言っても過言ではない佐野ですが、漫画版では逃亡した後に正隆と雪映に捕まり、そのまま殺されるというストーリー。
一方のドラマ版では逃亡した後、二人は佐野を追いかけず。仁科に殺害されてしまうという形に変化しています。
殺人に対して大小はないのですが、萌を殺害してしまった正隆に”それ以上の罪を重ねさせなかった”という点がドラマ版の特徴です。
逃亡した後に追いかけず放置と言う行動は、状況的に苦しい設定ではあります。「ただ最後に正隆に自首させ、前向きに罪と向き合っていこう」という結末を描くのであれば、佐野殺害は矛盾を含んでしまうので、ここについては仕方がない事なのかなと考察します。
テイストの違い
「ただ離婚してないだけ」は、サスペンス漫画の中でもホラー要素の強い作品。
漫画では、”痛々しい佐野の姿”や”子供が佐野の存在に気付くか気付かないか”というスリリングな展開の中で、ストーリーが進行していきます。
一方のドラマでは原作には、描かれなかった正隆の家族関係が描かれるなど、サスペンスの中にヒューマンドラマとしての要素を多く含ませた形になっています。
多くに人の目に触れるテレビドラマなので、怖さ一辺倒ではなく、情緒的な描写を脚本に加えたのでしょう。